No Longer Human

音楽、サブカル、ラジオ等について、経営的・定量的な視点から書いていきます。

東京ポッド許可局 パタンナー論を経営の視点から考える

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 今週の許可局はパタンナー論という回でした。

 ジャンル横断論を彷彿とさせる真面目な内容でした。論としては裏方の再評価といった感じのまとまり方でしたが、個人的にはピザが高い論に続く、経営視点で楽しむ許可局回だったなと感じたので、感想を少し書いてみます。

 

loki16185.hatenablog.com

  

 

 

パタンナー論の概要

パタンナー論の概要は大体下記のような内容だった気がします。

  • デザイナー=アイデアマンよりも、パタンナー=実現者が評価されないことが多い
  • パタンナー等裏方は、数値で仕事を把握しており、量産や繰り返しに強みがある
  • パタンナー等裏方は重宝がられことが多い大事な存在。
  • パタンナー等裏方は、組織の中にいる場合が多い。
  • パタンナー等裏方が評価されていないのは自己顕示欲が低いことが要因ではないか

東京ポッド許可局 | TBSラジオ | 2017/03/13/月  24:00-25:00 http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170314002152

経営の視点から思うこと

大手と下請けの関係性との類似 

 パタンナーが評価が評価されないのは、大手企業と下請企業の関係性に似ています。下請企業は大手企業に多くの仕事を依存しているため、提供している技術が高くても交渉力が低いケースが多いのです。これはポーターの5フォース分析という考え方にも当てはめることができます。

5フォース分析とは、バーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授によって開発された業界の収益分析のためのフレームワークのことを指す。
・業界を5つの要因(five force)でモデル化し、その5つの要因について分析することでその業界の収益性や魅力度を明らかにする。5つの要因が与える業界への力が強ければ、その業界において収益を稼ぐことは困難であり脅威となる。また逆に力が弱ければ機会となる。5フォース分析は、経営者が競争戦略策定において効率的に自社にとっての機会、脅威を把握すること等に活用される。
・業界の収益性を規定する5つの要因は以下の通りである。

新規参入の脅威
新規参入の脅威の大きさは、参入障壁の高さを示す。参入障壁が低い場合は業界内のプレイヤー数が増え競争が激化し、企業の収益性が低下する可能性が高くなる。参入障壁には、規模の経済性の有無、既存ブランドの強さ等が挙げられる。

②業界内の敵対関係の強さ
業界内の敵対関係の強さが大きければ、業界内の競争が激しくなり企業の収益性が低下する可能性が高くなる。敵対関係の強さを決定する要因として業界内のプレイヤー(競合)の数、規制の有無等が挙げられる。

③代替品の脅威
既存製品・サービスに比べて価格性能比に優れた代替品が存在する場合には、既存商品から代替品への切り替えが起こり、企業の収益性が低下する可能性が高くなる。

④買い手の交渉力
買い手の交渉力が強ければ、価格引下げ圧力によって企業の収益性が低下する可能性が高くなる。買い手の交渉力の大きさを決定する要因として、買い手の寡占度、スイッチング(切り替え)コストブランド力の強さ等が挙げられる。

⑤売り手の交渉力
売り手(供給業者)の交渉力が強ければ、原料等のコストアップ要因となり企業の収益性を低下させる可能性が高くなる。売り手の交渉力の大きさを決定する要因として自社の重要性、スイッチング(切り替え)コスト等が挙げられる。

5フォース分析とは - コトバンク

 この場合、大手=買い手であり、買い手の交渉力を弱めるには別の買い手を開拓し、大手企業への依存度を下げることが対策となります。

 これをパタンナー論に当てはめるとどうでしょうか。

 パタンナーが自らの評価を改善するためには、「組織=買い手」から独立するか、パタンナーの専門会社を作るなどして、既存の仕事以外の取引先を増やすこと(海外需要や、パタンナーの技術を応用できる他業界の需要を開拓)で実現できるでしょう。

 ラジオ内で多くの裏方が自己顕示欲が低いといわれたのは、このように裏方の待遇を改善しようという取り組みをしている裏方が少ないからでしょう。

 

裏方を評価できない業界・組織は弱い

 パタンナー論を一つの企業内で考えると、営業部門と製造部門の関係性に似ています。

 多くの場合、営業のほうが目立つことが多く、成果を図りやすいため、不公平感が生まれるケースがあります。しかし、製造技術は営業がアピールする商品力の源泉です。製造技術が衰えれば、営業も販売成績を伸ばすことはいずれ難しくなるでしょう。成果が目立つのは営業ですが、実はその成果は製造部門によって支えられているわけです。つまり、しっかりと製造部門の成果を見える化し評価できる企業は、製造部門のモチベーションも高く、高い商品力を維持し、好業績をあげることができるのです。

 パタンナー論では、「映画には裏方を評価する項目」があるというコメントがありました。つい最近、アカデミー賞が発表されましたが、僕はアメリカの映画業界が強いのは裏方までしっかりと評価する多くの項目があるためだと考えています。

 逆に言うと、裏方を現在しっかりと評価できていない業界というのは、今後衰退する可能性が高いといえるのではないでしょうか。

 特に、近年労働環境が悪いとされるアニメ業界は、この点を改善しないと、日本の製造業の衰退と同じ道をたどるのではないか、クールジャパン振興で最も重要度が高いのはこうした産業の裏方の評価制度を確立することではないのか、そんなことをパタンナー論を聞いて考えさせられました。

 

感想・雑感

 ジャンル横断論の時にも感じましたが、マキタ局員は一貫して、自分のテリトリーを確立している人は強いという趣旨の話をしているなーと感じました。マキタ局員の芸風にもそれは非常に強く表れている点なんだと思います。そして許可局のお三人は其々ジャンルを横断している実践者なんだなということを改めて感じました。

 こうしたテーマの回は、仕事論としても聞くことができる非常に面白い内容だと思っていつも聞いています。