No Longer Human

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ヴィンランド・サガ19巻 感想考察 ノルド戦士の末路

 ヴィンランド・サガの最新巻19巻が発売となりました。まだ発売したばかりですが、一気に読んでしまったので、感想をあげたいと思います。ネタバレを含みますので、まだ読んでいない方見ない方がいいかもしれません

 

 

 

 

19巻・バルト海戦役のテーマ

①復讐と赦し

 17巻のヒルドを巡る「狩るもの狩られるもの」から継続しているテーマは復讐と赦すというテーマ。この問題はまだ解決しておらず、継続しています。このテーマに関連する出来事は下記の3つです。

  • ヒルドがまだトルフィンを赦しておらず監視の立場を取っていること
  • トルフィンがまだヴァルハラの亡霊から解放されていないこと(自分がしたことに対する復讐に怯えている、自分の罪の償いの方法が見つけられていない。これは自分自身が父の暗殺を赦せていないからである)
  • 19巻でフローキがトールズ暗殺首謀者と知ったトルフィンが、まだ怒りを収めることができなかったこと
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 ↓復讐と赦しに関しての過去記事

loki16185.hatenablog.com

 

②ノルド戦士の末路

 19巻から強く印象づけられるテーマは、ヴァルハラの思想に囚われたノルド戦士の行く末を暗示する内容です。

  • 19巻バルト海戦役⑨でトルケルは「俺らみたいな男は、どうやら飽きるまで戦わないと駄目のようだ」と口にする。意味深なセリフである。これは彼のようなノルド戦士は「本当の戦士」なることはできないという悲しい末路を予感させるセリフである。
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  • 19巻では、7巻でアシェラッドの軍団から退役したアトリと再会するシーンがある。彼は7巻の最後アシェラッドに「お前は戦士に向いていない、戦士から足を洗え」と言われていたにも関わらず、盗賊として暮らしており、ヴァグンにとらえられた状態でトルフィンと再会する。これは、ノルド戦士が簡単には戦いを捨てることできないことを示唆している。
  • 19巻の表紙にもなっているガルム。彼はトルフィンと同等の実力もつ達人。そしてヴァルハラの考えを信仰する「死にたがり」である。できるだけ強者と闘い名誉の戦死を遂げることを生きる目的としている。彼が表紙というのが、この巻のテーマを物語っている。
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  • 明確な思想を持たず、戦闘を最優先として右に左に流れるヨーム戦士団。彼らは行く先々で争いの火種をつくっている。

 

19巻の要約

 19巻の内容は次の巻に向けての準備的な内容が多く、伏線やテーマが解決するほど大きく物語は動いていません。簡単にまとめると下記のような内容です。

  • トルケルがヴァグン討伐に出発
  • しかし、フローキが同時に放った刺客、ガルムによってヴァグンは死んでしまう
  • 相手を横取りされたトルケルは憤慨、代わりにヴァグン派閥のヨーム戦士団を煽り、フローキとの対決へと進める。
  • ガルムはトルフィンとの決闘を望むことから、彼を本気で決闘に臨ませるため、先にフユン島で合流を待っていたエイナル・レイフ一行を人質にとる。
  • こうして主要人物は戦いの舞台、ヨムスボルグに集められていく。

 

今後の展開

バルドルの最後

 前回も書いた通り、バルドルとは北欧神話の神の名前であり、道中で死んでしまう存在とされています。外見・内面ともに戦闘に長けた人物ではないことから、20巻でも同様の末路となるのではないでしょうか。

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 ↓バルドルに関しての触れた過去記事

loki16185.hatenablog.com

 

ガルムとトルケル

 バルドルに続き、ガルムというのも北欧神話に登場する存在です。

ガルム(Garm)は、北欧神話に登場する番犬

ヘルヘイムにあるヘルの館「エーリューズニル」の番犬で入り口にある洞窟グニパヘリルに繋がれている。無闇に冥界へと近付く者たちを追い払い、冥界から逃げ出そうとする死者を見張る。 『グリームニルの言葉』では「犬のうち最高のもの」と評されている。ラグナロクの際に自由になり、ガルムが死に際にテュールの喉を噛み切り相打ちになる。

見た目は狼犬に似て巨大な身体であり、胸元には渇いた血が付いており、その胸元の血は死者の血である。フェンリルと同一視されることがある。

ガルム - Wikipedia

 ガルムはラグナロクの際、テュールという軍神と相打ちになる存在とされています。このテュールとはヴィンランド・サガにおいてはトルケルにあたるのではないでしょうか。「俺らみたいな男は、どうやら飽きるまで戦わないと駄目のようだ」という意味深な台詞や、争いが主目的でなくなったヴィンランド探索篇では扱いにくい存在になっていたことから、次のヨムスボルグの戦闘で相打ちとなってしまうことが予想されます。

 また、北欧神話では、バルドルが死ぬことによってラグナロクが始まるとされています。次の戦闘は、ノルド戦士にとってのラグナロクという位置づけになるのかもしれません。

 加えて、クヌートもこのヨーム戦士団の争いが進み両者が疲弊することを望んでいる節があることも、その可能性を予感させるところです。

 

 

 いずれにしても、また続きが読めるのが半年以上先かと思うと、非常に待ち遠しいところです。