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No Longer Human

音楽、サブカル、ラジオ等について、経営的・定量的な視点から書いていきます。

機動戦士ガンダムサンダーボルト 3巻考察 プアマンの奇跡

 

 

 

 

今回はダリルを中心に描かれるため、ダリルの心情を中心に考察していきます。

1~2巻までの考察は↓

 

loki16185.hatenablog.com

 

 

loki16185.hatenablog.com

 

 

  • 21話冒頭、其々のラジオ・恋人を軸に両者の対照性を描く。通じ合うダリル。すれ違うイオ
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  • サイコザクの機動性にダリルは「きみの造ったMSは、俺の失った手足よりも自由だ」という。文字通り彼はカーラからの承認によって、持たざるものから持てる者へ、自由を得た。彼の心情を映すように、エンドレスサマーの歌詞が流れる。
  • 22話、グッナイマイラブを歌うドライドフィッシュの船員たち。「目が覚めたら世界は変わる、愛であふれた世界に。子供だった私にお休みのキスを。」これは船員たちの想いと同時に、自爆装置の計算をしたカーラの心情を示した歌詞である。3巻最後まで読むことで、それがわかる。
  • 「全て道連れにして悪夢を終わらせる」「ダリル、私も闘うわ、あなたをひとりで行かせたりしない」というカーラ。フーバーが死んだときは戦争に背を向けていたが、ダリルに対しては自分も当事者として戦争に関わることを選んでいる。カーラはダリルに対しては、感傷ではなく、本心として気持ちを寄せていることがわかる。
  • 23話、館内ラジオより「ノリノリのリズムで飛び込む5秒前、マジでビンビンだぜ爆発の2秒前」という歌詞が流れる。これはストレートに自爆前のカウントダウンとなっている。
  • これを止めるコーネリアス。そこで流れる「heyカモン最高の彼女。俺の助手席にカモン。ハイウェイ飛ばすぜ愛を誓うぜ」という歌詞。助手席にカモンというのはダリル側の心情である。カーラがこれに従うのであれば自爆をするということ。ここはダリルの想いと、和平を叫ぶコーネリアスのとの間で揺れるカーラの心情を描いている。
  • その後、一時の迷いにより自爆は失敗してしまう。発狂するカーラ。これはダリルを裏切ってしまったという罪悪感からか。
  • 両軍の戦闘が続く中、カーラとダリルが通じ合う事を示す歌詞が流れ続ける。場面も心象風景へと変わる。砂浜で抱き合う二人、ダリルは手足のハンデあら自由になり、カーラは軍というハンデから自由となった姿で。
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  • この歌詞が流れた後、ダリルとカーラの出撃の前の回想シーン。「冴えない僕らの人生だって、奇跡はきっと」さえない僕ら=持たざる者。そのキスシーンよりサンダーボルトが生まれ、そのサンダーボルトがダリルの意識を覚醒させる=奇跡を起こす。
  • ダリルはとっさにロケットを発射し、イオとダリルは相打ちに。3巻では一貫してダリルがカーラからの承認によって持てる物となったことを描いている。それとは対象的に持てるものだった=運の良い男だったはずのイオが「何故奴に勝てない!」と叫ぶ。
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  • ここで注目なのは、発射したロケットはガンダムにあたった時は爆発せず、コロニーの外壁にあたって爆発する点である。一度ガンダムにあたっているのに爆発しないというのは不自然なシーン。これは作者の意図したメッセージを強く表すシーンと思われる。ロケットの外壁によって空いたコロニーの穴からは、太陽の光がさす。ここでもダリルは、「カーラからの奇跡=ロケット」によって「光を得た=持てる者となった」ということを印象付けたいのだろうか。
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  • その後、イオ・ダリル共に制御不能となったMSから出たところでお互いに対面する。五体不満足な体とは対照的に後光を浴びるダリル。下から見上げるイオ。ダリルは五体のハンデを人との関係性によって覆した。イオは五体満足なリッチマンだったが、クローディアを含めて他者とはすれ違い続けた。その対比だろうか。また、後光というのは仏教のモチーフである。これは4巻以降のテーマを予期しての物だろうか。
  • サイコザクは太陽があったほうへと流れていき、爆発してしまう。それと共に、ダリルの五体満足=自由のイメージは消えていく。また彼は持たざる者へと戻ってしまう。
  • 戦闘終了後、ダリルはカーラが精神疾患となっていることを知らされる。グッナイマイラブの歌詞の通り、彼女は眠りについてしまった。サイコザクが消滅したのと同様に、彼女の承認は再び失われ、ダリルは持たざる者になってしまったことがわかる。
  • 一方、クローディアが行方不明であることを知らされるイオ。彼女のとのすれ違いと共に、敗北を感じる。
  • 拷問室で対面するダリルとイオ。「俺たちは闘い続ける宿命なのさ。戦争はまだ終わらない」というイオ。サンダーボルト宙域では実質的にダリルの勝利で幕を閉じた。しかし、戦場や立場を映して戦争は継続することを示している。

1~3巻までで、イオとダリルを巡る、他者からの承認、リッチマン・プアマン、互いの出自といった一連のテーマはいったんの完結となります。4巻以降のテーマに関してはまた次回掲載したいと思います。