いまさら人気でも流行りでもない曲の良さを考えてしみじみするシリーズ
いまさら名曲考察。
今回はもう解散したバンド、andymoriの光というアルバムに入っている
「クラブナイト」
という曲を考えます。
andymoriについて
3ピースバンド特有の動きのあるリズム体と、尾崎豊を思わせる勢いと危なっかしさを感じさせる歌声が特徴的なバンド。
クラブナイトに対する当初の印象
このクラブナイトという曲、僕はちゃんと歌詞を読まずに、メロディーの良さや「ジントニックで踊ろうよ」「君の好きなレコードをかけるよ」といった特定のキーワードだけを気に入って聴いているだけでした。
しかし、改めて歌詞を全部読んでみると、以外にもとても前向きで、メロディーの明るくも切ない曲調と相まってとても元気をもらえる良い歌詞だと、いまさらなら気が付きました。
この曲の良さを誰かに伝えたい、そんな気持ちでブログを書きます。
歌詞について
この曲、歌詞を読まずに音楽を流し聴きしていると、「クラブナイトへおいでよ」「下心でもいいよ」「ジントニックで踊ろうよ、それだけでいいよ」というキーワードが印象に残って、だめでもいいんだという、落語のような業の肯定ソングにも聴こえる。ダメな君にも好きなレコードをかけてあげるよ、と。
でもよくよく歌詞を見ていくと「光と闇が君の前に見えたら光を目指そう」「輝いた時代のアルバムをめくる手を止めて」といった現実に向き合おうとする前向きな歌詞があり、その後に「君の好きなレコードをかけるよ」と続いていく。「君の好きなレコードをかけるよ」というフレーズからは、嫌な現実に向き合うあなたを応援している、現実から逃げないために少し気持ちを切り替えよう、そんなニュアンスを感じ取ることができる。
全体の歌詞を見ていきましょう。
冷蔵庫の前でなんだかつまらなくなって散歩してみたけどそれでもやっぱり沈んでしまう日はクラブナイトへおいでよジントニックで踊ろうよ下心でもいいよ君の好きなレコードをかけるよクラブナイトへおいでよ赤いライトに照らされた大人になって大人の顔をしている君のありのままの笑顔を見せてよそれだけでいいよ今夜はまだ眠れない気分何週間も漂って心は疲れ果ててでも弱音は吐けないもう少しだけ頑張らなくちゃ光と闇が君の前に見えたら光を目指そう君の好きなレコードをかけるよああ 誰もが風に吹かれて 旅は続いていく求めては愛されてふられて 星を見上げる輝いた時代の アルバムをめくる手を止めてクラブナイトへおいでよ君の好きなレコードをかけるよ君のプレイリストは僕の心のど真ん中もうなんでもいいよ連れて行ってくれよどこまでも行こう。 どこまでも行こうよゴキゲンな音楽を聴かせておくれよクラブナイトへおいでよジントニックで踊ろうよそれだけでいいよ君の好きなレコードをかけるよ
1番目では冷蔵庫・散歩という日常をイメージさせるワードから始まって、日常に満足できない、不満を感じる人に、まずは下心でもいいから気持ちを切り替えようというニュアンスで「君の好きなレコードをかけるよ」と歌われる。
2番目では、「大人になって、大人の顔をしている 」「何週間も漂って 心は疲れ果てて でも弱音は吐けない もう少しだけ頑張らなくちゃ」 といった社会に向き合う人を連想させるフレーズがある。
そして「光と闇が君の前に見えたら 光を目指そう」 という歌詞の後に、大変な現実から逃げずに、やけを起こさずに向き合おうという応援のニュアンスで「君の好きなレコードをかけるよ」と歌われる。
※現状に納得できないときには、疲れていても、まだ眠りたくないという感情が生まれるもの。「今夜はまだ眠れない気分」という歌詞も、ぐっとくる内容。
3番目でも、「誰もが風に吹かれて 旅は続いていく 求めては愛されてふられて 星を見上げる 」という、厳しい現実に向かっていくようなイメージの歌詞がある。
そして現実逃避を思わせる「輝いた時代の アルバムをめくる手を止めて」という歌詞の後に、「クラブナイトへおいでよ 君の好きなレコードをかけるよ」と歌われる。
過去ではなく今に、現実に向き合うほうにおいでよ、というニュアンスでクラブナイトが使われ、向き合う人を後押しするというニュアンスで「君の好きなレコードをかけるよ」が使われる。
この曲全体の歌詞をみて改めてぐっとくると感じさせるところは、一見退廃的なものに思えるクラブナイトというワードが、現実に向き合う前向きなものとして使われているというギャップと、少しずつ違ったニュアンスを感じさせる「君の好きなレコードをかけるよ」という歌詞が繰り返されるところです。
こうした直接的ではないワードに、メロディーの情感と共にいろいろな解釈を乗せられるというのは、音楽でしかできない表現だと思います。
やはり、メロディーに歌詞がしっかりと乗っている曲、体重が乗っている曲というのはぐっときます。
※以前体重が乗っている曲について書いた記事