悩める僕らは素晴らしい

音楽、サブカル、ラジオ等について、経営的・定量的な視点から書いていきます。

ヒーロー論批評アニメ サムライフラメンコ

現在ノイタミナ枠で放送中のアニメ、サムライフラメンコ
色物枠として扱われつつあるが、これ、実は結構批評性が高いアニメじゃないのか。
展開が唐突すぎてついていけないという感想も多いが、
現代におけるヒーローを再定義するというか、批評するというか、
そういった視点で見ると、一貫したアニメに見える。


正直見ていない回もあり、うろ覚えなところも多いが、
そんなことを感じたので、何となく感じたことをメモする。



・ヒーローの現実・日常感
 ヒーローなど現代ではギャグでしかない。ツッコミしか入らない。
 厨房にすらからかわれてしまうのが、現代で正義を主張するヒーローの現実か。
 また、分かり易い悪がいなければヒーローとはここまで滑稽になってしまうということなのか。
 ※警察官の後藤を登場させるのも、現実感が出るところ。本来正義を行いたいなら警察官を目指せばいい。
 ※主人公の名前は正義。分かり易い。彼を通してヒーロー論を批評するのがサムライフラメンコ
  ヒーローを題材にヒーロー論批評を行うのは、ダークナイトライジングを連想する内容である。
 ※今後の文章では紛らわしいので、主人公の名前はマサヨシで統一。ジャスティスを正義と表記する。


・キングトーチャー 悪と正義 ノルマ
 ヒーローの欺瞞を暴く。覚悟のない、思考の浅い正義は、悪にも劣る。
 さらに悪も正義もノルマをこなすことで達成される役割でしかない。
 悪がいるから正義がいる。その逆もしかり。悪が生まれて初めて正義は滑稽でなくなる。

 
 ノルマという言葉が個人的にはとても響いた。ノルマを達成することで正義、悪足りえる。
 ここで言うノルマを達成するということは、手段が自己目的化してまうということではないか。
 つまりここで言いたいこととは、マサヨシはキングトーチャーが悪のノルマを達成したのと同じように、
 ヒーローになるためのノルマをこなしていたに過ぎないということを言いたいのではないか。
 ヒーローが自己目的化する皮肉を言いたいのか。自己目的化するという意味では悪と変わらないという事を。
 つまり一覧にすると↓のような感じか。

 【正義】
  本    来:人助け =目的 
          ヒーロー=手段。
 
  自己目的化:人助け =手段(ノルマ)
           ヒーロー=目的 
 
 【悪】
  本    来:悪事・犯罪=目的
         悪の組織(人体改造)=手段
  
  自己目的化:悪事・犯罪=手段(ノルマ)
          悪の組織(人体改造)=目的
  
 
 「人体改造されるのもヒーローならアリだろう」というセリフも、
 ヒーローになることが自己目的化していることを示す象徴的な言葉である。 




・戦隊物ヒーローの批評
 ベタベタなパロディ的内容に急展開。
 パクリ感満載なロボットや秘密基地は、この手の作品のヒーロー作品を批評するつもりなのか。
 


・フロムビヨンド
 第2の悪の組織のリーダーはマサヨシと同じ見た目だった。
 しかも、それはリーダーではなく、総体の代弁者でしかないという。
 その自分と同じ悪のリーダーを殺すと他の怪人も全て消える。
 これはマサヨシも総体の代弁者でしかなかったということを言いたいのではないか。
 キングトーチャーからの教訓で、マサヨシはヒーローへの自己目的化を避け、
 本来の人助け的目的を見失わないよう、一般人の声に耳を傾けてきた。いわば総体の代弁者。
 しかし、そのような総体の代弁者は、様々な地域・国ごとに無数に存在する。
 それぞれの地域・コミュニティの中で、総体の代弁者は自分が正義と信じて行動している。
 しかし、それは違う地域の人間にとっては悪でしかない。
 だから、「フロム・ビヨンド」なのではないか。
 自分達の周囲ではない、ビヨンド(向こう側)から来た正義だと。
 マサヨシのような担がれたヒーローは無数に存在するということを言いたいのか。
 そんな中で、自分こそが正しい正義だと誰が言えるのか。

 
・ヒーローは政治利用される
 その後、英雄になったマサヨシは政治に利用されてしまう。
 つまり、マサヨシもビヨンド同様、担がれた正義でしかなかったということか。



・今後の展開
このアニメが最後に主張したいテーマはいったい何なのだろうか。
ここまで唐突に展開をかえるのは、批評に重点が置かれているからに他ならない。
ここまでの展開は、展開が変わるたびに、マサヨシ=ヒーローの行動が、
悪の行動と大差が無いということを示す内容を繰り返している。
それを一つ一つ乗り越えることで、最後の結論に何を持ってくるつもりなのか。


恐らく今後フラメンコガールがもう一度何らかの形でメインになってくるのは間違いない。
覚悟の無さを露呈させた登場人物をどう使い、ヒーロー論を語るのか。
展開が読めないっすわ。


追記:ブログのために何話か見直したら、ブログとアニメの内容が整合性とれてないなと気づいた、、、
   やっぱりちゃんと見ないと駄目ですね


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ダークナイト ライジング

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