No Longer Human

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ヴィンランド・サガ21巻 感想・考察 ラグナロクに向けて②

 

先日ヴィンランドサガ21巻が発売されました。
また、ヴィンサガのアニメ化も決定したそうです。
注目度高まる本作品、このブログでもこれまで継続して内容を考察しているので、
今回も内容の要約・考察・今後の予想をしていきたいと思います。

 ※いつものように、ネタバレを含んだ内容のため、ご注意ください。

ヴィンランド・サガ(21) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(21) (アフタヌーンKC)

 

 

 

vinlandsaga.jp

↓20巻について考察した過去記事

 

loki16185.hatenablog.com

 

21巻の内容の要約

  • この巻も全話「バルト海戦役」。テーマはこれまでと同様である。
  • 前巻同様、ヴィキング(ノルド戦士)の終わり、ラグナロクを感じさせる導入からスタートする。
  • 夜の時間帯を狙って、砦への唯一の抜け道、井戸からグズリーズの救出に向かうトルフィンとヒルデ。それをトルケルの軍勢の立場から追いかけるシグルド一行。
  • 潜入後、トルフィン・ヒルドはバルドルの下女の手引きでグズリーズ・バルドルと再会。そこに侵入者の報を受けたフローキが到着。
  • トルフィンは怒りにかられフローキに切りかかるも、バルドルが止めに入ることで正気を取り戻す。ヒルドもトルフィンに向けた弩を下げる。
  • ヨーム戦士団によって井戸の抜け道がふさがれたため、バルドルを人質にして正面扉を開けようとしたところに、シグルドが合流。
  • さらにガルムが現れ、トルフィンとの戦闘が始まる中、正面扉があき、最後の戦闘が開始された。

 

 

21巻のテーマ

20巻同様、21巻の題名もすべて「バルト海戦役」です。そのため、3巻連続してテーマは下記2つの共通テーマです。

 

復讐と許し

17巻のヒルドを巡る「狩るもの狩られるもの」から復讐と赦すというテーマは継続しています。これにはトルフィンはヒルドに赦されるのか、トルフィンはフローキを赦せるのかという二つの要素がありました。

前回20巻ではトルフィンがまだこのテーマに関して、自分なりの答えが出ていないことが画かれていましたが、21巻ではどうでしょうか。

 

loki16185.hatenablog.com

 フローキと対峙した際のトルフィンは正気を失うほどの怒りを見せます。

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それを止めるのは、フローキの子供であるバルドルです。

彼が仲裁に入ることによってトルフィンは正気を取り戻します。

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ヴィンランド・サガにおいては、カルリが登場したときから、「子供」が復讐の連鎖を断ち切る存在として画かれてきました。そうした点で、今回もフローキの子供であるバルドルが復讐を止める存在となりました。

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ただし、この時トルフィンは正気には戻りましたが、自身の復讐心と折り合いがついた様子ではありません。トルフィンは正気に戻った後も「危なかった」と口にしており、潜在的にある自身の復讐心が消えていないことがわかります。

また、ヒルドも一度はトルフィンに向けた弩をおろしますが、まだ彼を赦したといった表情ではありません。結局のところ、トルフィンは自身の復讐心を抑え込んだとはいえ、21巻ではこのテーマが解決することはありませんでした。

 

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※正気を失ったトルフィンを、ヒルドは「獣」と称します。これは16巻の「狩るもの狩られるもの」で熊(獣)をトルフィンの比喩として使っていたことからきています。まだ彼女の中ではトルフィンは狩るべき悪しき獣であることがわかります。

↓16巻の考察記事

loki16185.hatenablog.com

 

ノルド戦士の末路

前巻同様、バルト海戦役では、ノルド戦士・ヴァイキングという存在の終わりを感じさせるシーンが続きます。

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処刑される寸前のノルド戦士が、ヴァイキングの行動原理の基にあるヴァルハラよりも重要なことに気づくシーンは、その象徴的なシーンです。

この戦争が、ヴァイキングにとってのラグナロク(終末の日)であることを改めて感じさせます。

ラグナロク - Wikipedia

 また、シグルドが友人から、ヴァイキングとしての行動原理ではなく、本当に自分が望んでいることをするべきと諭されるシーンも、ヴァイキングの終わりを感じさせるシーンです。シグルドとは、「ノルド戦士がヴァイキングの思想から解放される」という役割を担っているキャラクターといえるでしょう。

 

 

今後の展開・所感

結局のところ、21巻でも物語上の大きな進展はなかったように感じました。過去に3巻も同じ題名が続いたことって無いですよね?。上記にまとめた内容から見ても、21巻で新しく加わった要素は特にありません。個人的には少しテンポが悪いように感じてしまいます。

あと、ヨーム戦士団、弱くなりすぎてないですかねww ↓のシーンとか特に。

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農場編の時から比べてヨーム戦士団がポップに画かれすぎていて、物語としての統一感を感じられなくなってしまいます。

 

今後の展開で気になる点は、20巻の考察記事で書いた内容同様、下記の3点です。

  1. トルフィンはフローキをどう赦すのか。ヒルドはトルフィンをどう赦すのか。
  2. ノルドの戦士の象徴であるガルムは誰と戦い最後をむかえるのか。北欧神話に登場する「ガルム」と同じように軍神テュール(トルケル)と相打ちになるのか。
  3. ラグナロクのトリガーとして、バルドルは命を落とすことになるのか。

 ガルム・バルドルという神話に登場するキャラクター名を付けた以上、その神話の内容に沿った展開にしないと意味がないように感じるのですが、ここまでの展開をみていると必ずしもそうならないようにも感じてしまいます。なんかモヤモヤしますね。

22巻では、すっきりと伏線が回収されていくことを期待しています。