No Longer Human

音楽、サブカル、ラジオ等について、経営的・定量的な視点から書いていきます。

キングスマン ゴールデンサークル アメリカ人を舐め腐る

 ご無沙汰しております。昨日少し時間ができたのでバルト9で「キングスマン ゴールデン・サークル」を見てきました。映画館はほとんど満員。公開から結構時間がたったのに結構人気なんですね。そんなわけで今回はこの映画を観ての感想をアップします。

 

 

 

イギリス(ヨーロッパ)から見たアメリカ人の軽薄さ

 物語の展開や、細かなオマージュ等映画の見どころはすでにいろんなサイトで書かれているので、この記事で言いたいことは一つだけ、やっぱりイギリス人(ヨーロッパ人)から見るとアメリカ人って大分軽薄にみられているのかなっていうことです。

 これを読む方はキングスマンをすでにある程度ご存知という前提で書きますが、キングスマンとはUnited Kingdomを守る存在として名づけられています。今回キングスマンは物語序盤から窮地立たされ、アメリカにある同様の組織「ステイトマン」に協力を求めます。ものすごい単純なネーミングですが、United Statesを守るものだからステイトマン。今回はこの二つの組織がイギリスとアメリカの対比を表す形で終始進んでいきます。

 この映画では、「~マン」の組織に登場する小道具はすべてその国のアイデンティティを示すものがモチーフになっています。キングスマンならスーツや眼鏡、傘や革靴。ステイトマンならウイスキー(バーボン)やカウボーイハット、リボルバーに投げ縄。ここでさらにポイントなのは、そのアイデンティティのもとになるのはそれぞれの国の最も伝統的な保守文化という点です。だからこそ国を変えて同じ組織を対比させると、とても対照的に両者が見えて面白い。でも、この構図で考えると、少しずるい対比があることに気付きます。

 

イギリスはロンドンなのにアメリカはケンタッキー

 キングスマンの本拠地は首都であるロンドンにあります。当然洗練された組織に映るでしょう。でもステイトマンは違う。なぜか首都でもないケンタッキー州にある。首都であるワシントンや、東海岸のニューヨークでも良かったはずなのに。

 では、ケンタッキー州とはどんな場所か。

ケンタッキー[州]【ケンタッキー】

米国中南部の州。略称KY。アパラチア山脈西麓の丘陵地帯が大部分で,オハイオ川が北側の境界をなす。農業が主で,タバコ,トウモロコシ,大豆,小麦,果物の栽培が盛ん。

出典 株式会社平凡社

 

ケンタッキー[州]【Kentucky】
アメリカ合衆国南部の州。公式名称はCommonwealth of Kentucky。略称Ky.,Ken.。連邦加入1792年,15番目。面積10万4623km2,人口388万(1996)。州都はフランクフォート,最大都市ルイビル。州名はイロコイ語あるいはチェロキー語で〈暗く血まみれの土地〉〈大草原〉〈荒地〉〈明日の土地〉などを意味するとされる。1783年パリ条約により合衆国領となった。地形は丘陵性で,西流するオハイオ川が北側の州境をなす。

出典 株式会社平凡社

 すごく端的に言ってしまうと、アメリカの中でも田舎で保守的な場所、それがケンタッキー州です。特に、このキングスマンではその記号として機能している。

 つまり、ステイトマンはイギリス人(ヨーロッパ人)から見たアメリカ人の一番野暮ったい部分を象徴する存在として引き合いに出されています。だからこそ冒頭にも、保守的な音楽ジャンル、カントリーの名曲として、カントリーロードが流れています。

 そして本作の悪役は、ジュリアンムーアとともに、明らかにドナルドトランプがモチーフになっているアメリカ大統領です。トランプ大統領の支持基盤は内陸部の保守層だったことを考えると、この映画ではそのあたりが明確に意識されていると感じさせます。

 キングスマンとは元々、古いスパイ映画を腐していくというのが大前提のテーマであるわけですが、今回はアメリカの保守層を徹底的に腐していくことがテーマになっていたなーと強く感じました。

 

フラットに見たら

 でも僕はこのイギリス人視点を別に悪く言いたいわけではありません。これは映画的にもあえてデフォルメして表現していることが明らかに分かる作りになっているので、むしろこうした価値観があるということを知るいい機会になりました。そうした点でもこの映画は非常に面白かったです。

 ただ物語終盤、なんちゃってトランプ大統領は、ヒラリーを意識したような女性秘書官によって逮捕・更迭されてしまいますが、もしアメリカ視点であったらトランプ大統領を逮捕して物語が解決するという安易な終わり方は無いだろうなーと感じました。実際にはキングスマンで描かれるほどには、当然アメリカ保守層も単純ではないからこそ、トランプ大統領が生まれたのでしょうから。

 

その他

 戦闘シーンや残酷描写ではほぼ必ずPOPな音楽が流れる。なんだかMVっぽくて現代的だなーと思いました。

 

 

面白いけど、正直2回は観なくていいかな、というのが僕の正直な感想でした。

他の人はどんな風に感じるでしょう。