ガッチャマンクラウズ インサイト 1期のおさらいと今後の展開
最初に
ガッチャマンクラウズの2期、ガッチャマンクラウズインサイトが始まりました。以前1期の最終回について書いた際に、作品の主張は完結したので2期をやる必然性はない、と書いてしまった手前、なんだかばつが悪い気分です。
ただ、せっかく1期については時間をかけて記事を書いたので、2期についても内容を考察していこうと思います。
まずは1期の内容の確認
2期の内容を考える前に、1期はどんなテーマと結論だったのかを確認します。
- テーマ:有史以来初めて、僕らの心がネットにより可視化されました。可視化された僕らの心は、何か良い事にも使えるのではないでしょうか?(公式HPより)
- 結論:可視化された心を良い事に使う方法は、特定のリーダー的人間が個人的な倫理観に基づいてルールを設定することではなく、多くの人が自然と善意的な行動に向かうような「仕組み」をつくること
※このあたりの事は以前のブログに詳しく書きました。
今回のテーマは?
では今回のテーマは何か。1期同様公式HPに示唆されています。
僕らは、僕らの事が知りたい
僕らの国には社会がないこと
社会と世間は違う世界で生きているということ
情と理
悩むのではなく考えることが大切ということ
現代人は速すぎる 呼吸も浅く早い
ゆっくり深くが僕らは苦手だ
この内容を個人的な解釈でまとめると以下のような感じになります。
日本は成熟度が低いため、「社会」に満たない「世間」しかない。
瞬間的に感情に流されずに、落ち着いて冷静に物事の本質を考えることが重要。
まだ序盤なので、この解釈は違うかもしれませんが、そもそも今回のガッチャマンクラウズ「インサイト」の、インサイトの意味は「洞察、明察、物事の本質を見抜くこと」とされているので、それほどずれてはいないと思います。
1期の結論はゲーミフィケーション等の仕組みを作ることが結論だったわけですが、このゲーミフィケーションは、使い方次第では非常に危険な使い方もできてしまうことが課題とされています。例えば、ブラック企業が都合よく社員を使い倒すようにインセンティブを設定することもできるし、極端な話、国民の民意が戦争に向かうように設定することもできます。今回の話は、そうした1期の内容で残された課題に答えようという内容ではないでしょうか。
このような視点で2期を見ると、腑に落ちる点が多いと思います。
0話~2話までの内容
1期2期のテーマを確認したうえで、2話までで気になった項目・感想を挙げていきます。
アンチナショナリズム
先ほども、「仕組み」は戦争に利用されると書きましたが、なんだか戦争を連想させるシーンが多く出てきます。
- vapeが0話で乗っ取るのは戦闘機。vapeもクラウズと同じ人々の意識の表れ
- 空気、世間という言葉がよく出る。戦時中も、世間が同調圧力によって、戦争の空気をつくったとされている。
- 空気や世間の話題が出た後に、ゆるじいの弟は戦争でなくなったであろうことが示唆される。ゆるじいは名前の通りゆっくり派、将棋をさすのも遅いシーンがある。ゆえにゆるじいは世間や空気や感情的になることをよく思っていないように見える。
- 2話の最後、つばさが新幹線内で東京に行くことを応援されるシーンは、まるで戦争に向かう人に万歳三唱をすることを連想させる。また、「壮行会」とは戦争に若者を送り出す会でもあったとされる。
- 人々がポジティブな事しか言わなくなったら、許さなくなったら、おかしいと思った方がいい。戦争に向かっている。太宰治ですら、戦時中は前向きな内容の小説を書いた。と、吉本隆明の講義podcastで聞いたことを思い出した。
- 2話のスマホ選挙のあと、「なんかゲームっぽくていいかも」というセリフ、これはゲーミフィケーションの危険性示唆か?
ゲルサドラ
- 今回のカッツェに次ぐ宇宙人枠
- 本家ガッチャマンでは、ゲルサドラはカッツェの後に登場する悪役。つまり2期の悪役はゲルになる可能性が高い。
- 人々の感情?を可視化する能力を持っている。全体の感情や空気が一体化する事を望む。この一体感主義を悪意なく、自覚なしに行っている所が、逆に危険性が高い。そこが戦時中の同調圧力を連想させる。感情や一体感といったものは思考を停止させる要因。
- テーマの「情と理」と強い関連性
鈴木理詰夢
- DQN過ぎる名前w
- vapeというアンチクラウズの組織をつくり、クラウズの危険性を煽るネガティブキャンペーンを行う。
- 0話最初にローソクに向けて祈るシーンあり。クラウズで身近な何かが犠牲になった過去ありか?それがアンチクラウズの動機か
- 情と理の理の側の立場か、理詰夢だし
- 理は考える側の立場であり、作品の主張に沿う立場だと思うが、「過激な平和主義」の過激というところに問題ありか
- 問題意識をもって活動するも欠点があるキャラ、というのは、1期の累の立場と同じ。ということは鈴木も仲間になるのか
つばさ
- 今回の主人公
- プッツン系女子 切れると地元の方言が出る。
- 青い翼、呼吸が浅いとゆるじいに指摘される⇒精神的に未熟
- 情と理⇒情の立場
- 感情的=呼吸が浅い=速すぎる現代人?
- 前作主人公のはじめは、超人的な非の打ちどころのないキャラだったが、つばさは一般人的なキャラ設定。このあたりも未熟な世間が「仕組み」とどう向き合うのかというテーマに関わってくるのか。
はじめ
その他
- ミリオネ屋=世間
- 累がなぜか首都高をスポーツカーで疾走していて、選民意識丸出し
- パイパイが、また主人公を名前でなくド新人で呼称。1期最終回ではじめを名前で呼ぶようになったのに
- 全体的にはじめ以外のキャラが成長していないw
- はじめとゆるじいの感情の色は同じ灰色。つまり、務めて感情的にならないようにしているといえる。1期の流れなら、はじめは物語上の正解の行動しかしないので、じいさんとはじめの無感情という振る舞いが作品の主張として正解?
- もしそれが答えとするなら、じいさんが正解という、とっても説教臭い保守的な結論に落ち着くことになる。
- 今のところ、全体的に1期より説教臭い内容になりつつある印象
- そこを感情的な主人公つばさと、無感情のはじめが協力することで、別の回答を示すつもりなのだろうか
深夜に記事を書いたので、後半は文体がガバガバですが、2話までの気になる要素はこんな感じでしょうか。2期も予想の斜め上をいく内容を期待しています。