読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

No Longer Human

音楽、サブカル、ラジオ等について、経営的・定量的な視点から書いていきます。

すべてのJ-POPはパクリである 感想書評 マキタスポーツに脱帽!

 

 すべてのJ?POPはパクリである

初めに

 

 最近ポッドキャスト「東京ポッド許可局」にハマっていることもあり、出演者であるマキタスポーツ氏の著書「すべてのJ-POPはパクリである」をキンドルで読みました。

 本の詳細な内容に関しては後で書きますが、まずは読んでの雑感を。
東京ポッド許可局での語り口と同様に、マキタ氏の視点は非常に客観的で冷静であり、とても読みやすい内容になっています。

 音楽をテーマにした本の困った特徴として「感情的な文章でゴリ押しする」という傾向がありますが、この本はいい意味でそれを裏切っています。

 

本書の結論は、乱暴に言えば以下のようなものです。
現代の音楽に完全なオリジナル等存在しない。
 であれば、ヒットの法則や、ジャンルのフォーマットを理解した上で、

 それを踏襲し、ハッキングしていくことが重要。
 こうしたことは、音楽に限らず応用できる話。


また、話の説明上、昨今の音楽市場を批評、考察する内容にもなっており、その内容は共感できるものが非常に多いです。
同じ秘境山梨県出身として、山梨が生んだインテリ芸人マキタスポーツから目が離せません。

 

・本書共感部分


ここからは読んで共感した部分を箇条書きで書いていきます。


・まずは目次から

第1章 ヒット曲の法則
・ヒット曲を生み出す時代背景
・カノン進行は一発屋を生む?

第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
・ファッション化する音楽
AKB48の曲がヒットする2つの理由
ももクロのジャンクさは確信犯
・ジャニーズという「ジャンルのすごさ」
・ビジュアル系をビジュアル系足らしめる3要素

第3章 モノマネから発するオリジナリティー
・作詞作曲モノマネはオリジナルなものを生み出す
・オリジネイタータイプとフォロワータイプ

第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
・アーティストの非常に「柔らかい部分」
・「ノベルティー・ソング」とは何か
・「人格/規格」という見立てでアーティストの秘密がわかる
・パクリ論争などバカバカしい

 


※■=本の内容の要約  ●=ブログ管理人の感想

 

・第一章では「J-POP」は工業製品であると主張

 ■コード進行、楽節形式、歌詞等、売れる楽曲にはある種の規則性、
  フォーマットがあり、これを踏襲することで、
  工業製品的にヒットを飛ばすことが可能としている。
  ここ20年のヒット曲に使われたフレーズ一覧などもあり、
  如何に定型化されているかわかる。
 ●読者は、取り敢えず桜が舞い散ればCDを買ってしまう
  日本人の現実を目の当たりにすることになる。
  この工業製品という表現は決して皮肉ではなく、
  J-POP製作の技法の強度、完成度を主張しているのだと思う。 

 

・ヒット曲のトレンド

 ■曲の入りはまずサビから
 ●これは配信(視聴)時代の大きな特徴といえる。 
  津田大介氏も以前同じことを言っていた。
 ■歌詞においては、冒頭に謎かけ的な内容を掲示し、後半でその謎を回収する。
 ●これは近年の新書釣りタイトルと同じであり、売れるための手法といえる。
  本書「すべてのJ-POPはパクリである」も同じ形式といえるのでは


・CDが売れたのは90年代だけ

 ■90年代はミリオンセールの66.8%を占めるている
 ●90年代が異常であり、これを再び追い求めても仕方がないというのは禿同である。
  著作権でCDの売り上げを取り戻すと夢中になっている人たちにはよく考えてほしい。

  類似テーマの過去ブログ↓

CDの売れない時代が良い音楽を作る - No Longer Human

 

 

・アーティスト本位からお客様本位へ

 ■CDバブルの時代では、アーティストのエゴを押し付けても売れていたが、
  CDバブル崩壊後の現代では曲のニーズを追求したマーケティングベースでの
  販売が必要になった。
 ●これは消費社会の終焉と共に、プロダクトアウトから、
  マーケットインへと考え方が変わったのと同じ構造では。
 


・この時代にCDを売るには?キーワードはマニア向け

 ●マニア向けに特化した製品を作るというのは、
  実はちゃんと根拠のある概念である。
  コトラーの競争地位戦略という概念の中にニッチ戦略という考え方があるが、
  これはまさに一部のマニアをターゲットに専門性を高める戦略であり、
  中小企業のとるべき基本戦略としても知られている。
  近年話題になった「グレイトフルデッドにマーケティングを学ぶ」も
  この考えを取り入れていると言える。
  現代のバンドは中小企業であるw というテーマで次のブログを書きたい。

 ※↓コトラーの競争地位戦略図 管理人作成

f:id:loki16185:20141009195352j:plain

 

 

・今やアイドルが一番過激なことができる実験の場に

 ■最近のヒットチャートはアイドルが独占しているが、
  アイドルの楽曲は非常にとがったものが多く、
  面白い楽曲が数多く生み出されている。
 ●これを読んで連想するのは、ロボットアニメというジャンルである。
  かつてロボットアニメはプラモデルやフィギア等の販売で、
  視聴率以外でも資金回収ができるとの理由から、
  ロボット物にすることでスポンサーからの物語に対する制約がとれ、
  非常にとがった自由な内容にすることができ、

  ジャンルの発展に繋がったとされている。
  トレンドのジャンルのフォーマットを使うことで、
  自分の表現が自由にできるというのは
  どんな分野でも共通であり、今の音楽では、
  それがアイドルというフォーマットであるという事なのではないか

 

・懐メロの特長

 ■懐メロは古いから懐メロではなく、共通のイメージが浮かぶものが懐メロ
  それ故にアニソンには懐メロと感じさせる楽曲が多い。
 ●なるほどと思う視点だった。


・ビジュアル系の特長

 ■V系の特長は下記3点とされている。
 ・キメ(音楽的アトラクション)・カオ(ファッション性) ・ヒモ(経営の特徴)
 ●中でも僕は三つ目のヒモ「経営の特徴」に注目したい。
  本の中で、バンド側はファンの熱狂的な消費が無ければバンド活動が

  継続できず、ファンは自分たちが買い支えなければ、バンドとの

  疑似恋愛を続けることができないという、
  共依存関係(ヒモ)に経営の特長があるとしている。
  これは最近注目される里山資本主義に通じるところがあると感じた。
  また、一部のマニアから太く収益を挙げるというのは、
  先ほどのニッチ戦略との共通の考え方である。
  この「V系ヒモ経営理論」は中小企業の経営の参考になるのではないかと思う。

 
・最後に

本の後半でマキタ氏はこう書いています。

「「ヒット曲の法則」を探るという形で、音楽を通じて「ウケる作品を作る方法」を紹介してきたわけですが、
これまで述べてきたことは音楽以外の表現でも使えるテクニックや考え方だ、
ということにより説得力が増すのではないでしょうか?」

その通りだと思います、マキタさん。
この本の内容を最終的に僕は以下のように解釈しました。

 

「どの分野でも、敵を知り己を知れば百戦危うからずである」
⇒敵(市場、ヒットの法則)を知り己(自分の身体性・オリジナリティ)を知れば百戦危うからず。

 

外部・内部分析を明確に行い、定石戦略を知ったうえで、少しのオリジナリティを入れる。これをしっかりと行えば、一定の成果を上げることは誰にでも可能。
という事じゃないですかね。
非常に普遍的で、強度のある内容だったと思います。


次はプチ鹿島さんのプロレス本も是非読んでみたい。