悩める僕らは素晴らしい

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ヴィンランド・サガ16巻 感想 考察 復讐の連鎖

 

ヴィンランド・サガ(16) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(16) (アフタヌーンKC)

 

 

最近ヴィンランド・サガ16巻を読んだので、その感想と内容の考察をアップします。前回の15巻に引き続き、新しいテーマや伏線が設定され、その内容をスムーズに回収していくので、非常に読んでいて面白いです。

 アシェラッドが死ぬまでの長すぎるプロローグに比べて、どんどん話が進みます。

 ※今回は各話タイトルごとに内容を見ていきます。

繋がれたアジサシ(ラスト)

  • ついにグズリーズ(アジサシ)がトルフィンの提案により、繋がれた鎖を外して、船に乗りこむことになる。
  • 前回のワタクシの予想通りの展開であるw。
  • 最初のページでチェスの盤上から駒が落ちている絵は、ハーフダンの思惑からグズリーズが外れていく象徴的な絵である。
  • 最後に村を出ることを認めるのが、村の女性だが、これは何か意味があるのだろうか。15巻から女性にスポットが当たっている。
  • 前回のブログ記事↓

    loki16185.hatenablog.com

放たれたアジサシ

  • 嫁に逃げられるという恥をかいたシグルド。汚名返上のためにトルフィンを追う。ただ、これまでのヴィンランドサガの内容を見る限り、恥を原動力にして、いい結果になることはない。
  • ハーフダンの妻は、女は普段は男の遊びに付き合っているだけだと言い、チェス盤でハーフダンに王手をかける。つまり、女性も当然物事の全体は見えている、その上で合わせているに過ぎない、ということを言いたいのでは。

北海横断

  • 過去を振り返るトルフィン。トールズも最後まで剣を捨てることはできなかった。トルフィンは今後自分も剣を取らずに進めるのか不安に思う。
  • エイナルは、今後もしトルフィンが剣を取ることを迫られるとき、誰が知らなくても、自分がトルフィンの覚悟を知っている、そのことを覚えておいてくれと言う。非暴力の苦悩を。(これは16巻最後のシーンへ向けた重要な伏線である)

  • ここがやはりトルフィンが今までの登場人物(アシェラッド、クヌート)と違う部分である。他者と協力するということ。

  ↓過去記事での登場人物の行動基準表20131120141012

 

戦士から戦士へ

  • 争いのあった村に立ち寄った際、自分の子供をかばって亡くなった女性に赤ん坊を託される
  • その母親を見て「すばらしい」と発言するトルフィン。これは何に対してか? 母親の覚悟?自己犠牲の精神に対して? 何か違和感のあるセリフである。

復讐の義務

  • トルフィンとグズリーズとの会話の中で、何故復讐はなくならないのかについて考える。
  • 復讐とは平和のために行われるという。人を殺した者が復讐を受けなければ、人を殺すことにより受けるリスクがないことになる(法律のない世界では)。抑止力のために復讐は必要であると話すトルフィン。復讐に代わる解決方法はないのか、苦悩する。(この問題も、16巻最後で重要となる)
  • 前話で引き受けた赤ん坊は復讐の連鎖の象徴である。この子供を見捨てることは、これまでのトルフィンの決意を不意にするものである。


厄介な奴ら

  • グズリーズや、引き受けた赤ん坊は厄介な存在。そうした、他に行く場所がないという意味で厄介な人々の居場所(ヴィンランド)を創ることがトルフィンの目的。
  • そして、最も厄介な人間は自分だと話すトルフィン。未だ自分の暴力の歴史と、折り合いがついていないことが示唆される。


狩るもの狩られるもの

  • トルフィンは未だ悪夢にうなされる。実はヴァルハラの夢からまだ解放されていない。つまり自分が殺した人たちへ何をすれば償いになるのか、許されるのかの答えが出ていない。
  • ここで登場する熊はトルフィンの比喩である。悪い熊は悪い夢を見る、だから冬眠することができずに人里を襲う。眠れない熊同様、トルフィンは剣を手放せなかった。
  • トルフィンが熊に苦戦しているところを、エイナルが助けに入る。そしてエイナルの後ろからヒルデという女狩人の石弓が熊を打つ。これは今後の展開を暗示している。
  • ヒルドは、自分の石弓には毒など必要ない、毒がなくても熊を倒す威力が、自分の石弓にはあるという。つまり、このヒルドという登場人物は、卑怯な手は使わない、正攻法しか使わないということである。

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狩るもの狩られるもの②

  • ヒルドの父親は過去にトルフィンに殺されたという。ヒルデの復讐心と石弓は、トルフィンに向けられる。
  • ここで、トルフィンは16巻で示唆されてきた3つの問題に直面することになる。①争いに直面したとき、剣をとらずにその場を収められるのか。②復讐に代わる手立てはないのか③自分が過去にしたことにどう折り合いをつけるのか。
  • そして、未だその問題にどう対処すればいいのか、答えが出ていないことがトルフィンの表情からわかる。

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今後の展開

 今後の展開はどうなるのでしょうか。

 トルフィンの比喩である熊を倒した時も、ヒルド→エイナル→熊(トルフィン)という位置関係だったことを考えると、恐らくエイナルがヒルドとトルフィンの間に立つことで、事態が収束していくのではないかと思います。

 ヒルドは正攻法しか使わない人間ということが示唆されているので、自分の復讐と関係のないエイナルを巻き込むことは避けるでしょう。

 具体的にどのようにエイナルが2人に関わっていくのか、そしてどのように16巻で刑事された3つの問題の答えを示すのか、非常に楽しみです。

 

↓17巻の考察

 

loki16185.hatenablog.com

 

 

loki16185.hatenablog.com